『日本と原発』トーク

海渡雄一インタビュー

14/10/10

リベラルな母と三菱電機勤務だった父、そして伴侶

<Q>東大法学部に入学、その後、原発と向き合う方向へと進んでいく海渡だったが、家族の反対はなかったのか?

 

海渡雄一インタビュー反対ね…。ありましたよ。父は、三菱電機で原子力ムラのど真ん中にいた人でした。僕の活動が目立たなかったときはよかったけど、ちょうどね、司法試験に通って、1979年4月に司法修習生になろうという春休み、1979年3月にスリーマイル島の事故が起きたんです。もう何もすることもないから、春休み中ずっとスリーマイル島事故を受けた署名運動や原子力情報室の電話番をしたりしてたんですよ。そのね、街頭の署名運動をしてたのがNHKニュースに映った。そうしたら父親がすごく怒って「絶対に止めてくれ。俺の出世に差し障る」と言ったな。ちょうど、定年の数年前だったから、もう少し出世したい頃だったのかもしれないですね。その後の訴訟でやることについては、反対しなかった。その頃には定年退職して、関連会社の役員になっていたから、僕がやっていることは、仕事に支障がなかったんでしょう。父親としては、せっかく弁護士になったんだから、もっと大会社の弁護とかやってゆっくり暮したらいいという意見だったかもしれない。

 

でも、母親は僕がその種のことをやるだろうと、最初からわかっていたし、すごく応援してくれたんです。なので、親子の葛藤はなかったんですよ。母親は元々リベラルな思想の人だったんです。

そもそも、僕は公害をなんとかしなくてはいけないと思って法律を勉強していたんです。公害の一つとして、原子力発電に対して興味を持ったのは、東大で行われた久米三四郎先生の公開自主講座がきっかけなんですね。1977年4月の時の公開講座なんですが、その時すでに、伊方原発訴訟が起きていて、今、語られている原発問題のほとんどがその時の講座の資料には書かれていました。



【公開講座配布資料で述べられている内容】

  • 過疎地に建てる(地元の産業と財政の問題)
  • 安全審査のデタラメぶり
  • 軽水炉の危険性(原子炉はただの湯沸し器に過ぎないのに死の灰を作りだす)
  • プルトニウムの恐ろしさ・放射性毒物とその半減期の長さ、ガンを引き起こす可能性
  • 米国では保険会社さえ原子力産業から手を引いたほど損害が大きいとされること(損害額が日本では1/5となっていて、人命の価値が米国の1/5となっていること)
  • 安全性研究にゴマカシがあること
  • 150気圧という高圧のボイラーと、それが空だきによって事故を起こす恐怖があること
  • 命綱とされる「緊急炉心冷却装置(ECCS)」が働かない恐れがあり、米国で論争が続いていること
  • 日本の地盤の問題
  • 『トイレットのないマンション』問題として、米国でも継続的な議論になっている再処理と廃棄物問題、特に日本はどこに捨てるのか?海洋投棄を行うのかということ
  • 巨大技術・巨費を投じた国家レベルの研究・事業であるが故の情報隠しが考えられること

 

※この講座については書籍『自主講座「公害原論」の15年』をご参照ください

 

<Q>その東大で講座を聞かれていた頃、瑞穂さんとお付き合いが始まった?

そうですね。若いころの瑞穂さんはキャピキャピだったんですよ。ミニスカートとか履いてたし。

<Q>海渡弁護士は「瑞穂さん」と呼び、福島瑞穂さんは「海渡くん」と呼ぶそうですね。これは、その時の力関係が、今も続いてこの呼び名につながっていると……

(笑)彼女はね、ダンスも踊るし、お酒も好きだし、東大法学部には女性はほんの数人しかいないくて、ものすごい高倍率だったんですよ。

僕の方が割と早く司法試験に受かって弁護士になって、彼女はちょっと苦労したんだけど、その間、ずっと僕が支えてたんですよ。僕たちのつながりは二人の契約で成立してるだけで何も縛るものはないんです。財産も全部半々。家具も一つひとつ、誰の所有か決めてあるんです。

<Q>いつもニコニコ笑顔の海渡弁護士が、瑞穂さんの話ではさらにトロケルような笑顔になり、心から大好き♡的な雰囲気がこぼれるようでした。

 

『自主講座「公害原
論」の15年』

出版: 亜紀書房公害言論20141011_00000
著者: 宇井 純 著
価格: 3,500円(税別)
発売日:2007年5月9日

【内容紹介】
伝説の講座の熱気が蘇る!
科学技術のあり方を根本から問い直し、立身出世のためではなく、生きるために必要な学問の創造をめざして1970年に始まった自主講座「公害原論」。宇沢弘文、星野芳郎、羽仁五郎、都留重人、松井やより、松下竜一ほか、多彩な講師を招き、反公害運動のみならず、大学改革の先駆的拠点となった講座の15年間の軌跡をたどる。
『公害自主講座15年』(1991年、弊社刊)を改題。

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